2020.07.28
どうして抜ける?ちゃんと治る?
女性の円形脱毛症
知っているようで知らない「円形脱毛症」
円形脱毛症は、十円玉大の脱毛部分が出来る症状などで、昔から知られる脱毛症です。 実際には、円形だけではなく楕円形などの脱毛斑が突然生じ、大きさや個数はさまざまで、重症になると、髪の毛だけにとどまらず、まゆ毛やまつ毛、その他全身の体毛に及ぶこともあります。
軽度のものは自然治癒する場合もあります。また、一度治っても再発する可能性もあります。女性の場合、髪型によっては自分ではなかなか気がつきにくく、美容院などで指摘されて気づくことも多いようです。
円形脱毛症の原因や有効な治療法など、今回は円形脱毛症について深掘りしていきましょう。
円形脱毛症とは
- 原因1 : 自己免疫疾患
- 円形脱毛症の発症原因について、かつては精神的ストレスによって発症すると言われていましたが、近年では「自己免疫疾患説」が有力となっています。自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。Ⅰ型糖尿病、関節リウマチ、橋本病、バセドウ病など、たくさんの疾患がこの自己免疫の異常によるものです。「本来、体を守るはずの免疫システムに、なぜ異常が起きるのか」という根本原因には、感染症や薬剤、遺伝子異常などが関与していると考えられていますが、まだ完全には解明されていません。
- 原因2 : 甲状腺疾患や膠原病など
- 円形脱毛症は膠原病、甲状腺疾患などに合併する例もあります。 その場合は、微熱や疲労感などの症状を伴うことも多いので、思い当たる場合は、すぐに医師に相談しましょう。
- 原因3 : 遺伝
- 円形脱毛症の発症には遺伝が関係していると言われます。円形脱毛症患者の8.4%ほどに、家族にも円形脱毛症歴がありました。また、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の場合は、一人が円形脱毛症を発症した場合は、もう一人の発症率は55%と高率であることから、遺伝も関わっているとの考え方もあります。
- 原因4 : アトピー性皮膚炎
- 円形脱毛症の患者の40%以上がアトピー素因を持っていると言われます。 また、患者の23%がアトピー性皮膚炎を合併しているというデータからも、円形脱毛症とアトピーの間には深い関係があることがわかります。このあたりも今後の研究に期待したいところです。
- 原因5 : ストレス
- 以前は、円形脱毛症の原因の1つは精神的ストレスだとされていましたが、その後研究が進み、現在では、ストレスは、円形脱毛症の直接的な原因というよりは、誘因の1つと考えられています。強いストレスが交感神経やホルモン分泌に影響し、血行不良や内分泌疾患、自己免疫疾患などを引き起こすことで、結果として円形脱毛症を発症する可能性があります。 しかし、大規模な自然災害のようなストレス環境での発症数と比較しても、平常時との差異は見られなかった、との報告もあります。
女性の円形脱毛症の種類いろいろ
女性の円形脱毛症にはいくつかの種類があります。
- 単発型
- 一番よく見られる軽い症状のタイプです。10円玉~500円玉大のエリアに脱毛が発生します。 発症年齢の幅が広く、男女の比率にも特に差異はありません。単発型の約80%が1年以内に治癒すると言われていますので、過度に不安になる必要はありませんが、まれに多発型に以降する場合もあります。
- 多発型
- 2ヶ所以上に脱毛エリアが認めらるタイプです。このタイプは、再発を繰り返すことも多いと言われています。 複数の脱毛エリアが融合して不整形になったり大きくなったりすることもあります。適切な治療を行っても、完治するのに半年~2年程度かかることが多いようです。さらに悪化して、脱毛エリアが結合し拡大する場合は多発融合型へと移行することもあります。
- 全頭型
- 脱毛部分が拡大して、頭部全体にまで及んでしまい、ほとんどの髪の毛が抜け落ちてしまうタイプです。 非常に治りにくい例が多いため、治療とともに、かつらの着用などを考えることが必要でしょう。
- 蛇行型
- 後頭部や側頭部などの、髪の生え際にそって蛇のように広がって脱毛します。治療期間が複数年にわたる場合もあります。
- 汎発型
- 頭髪だけでなく、まゆ毛やまつ毛、体毛など全身の毛が抜け落ちてしまうタイプです。円形脱毛症の中でも一番重度なタイプと言われています。治療は長期にわたります。
どうやって予防したらいい?女性の円形脱毛症
円形脱毛症は突然発症することが多く、ほとんど予兆もなく、予防することも難しいと言われています。 しかし、高確率ではないにせよ遺伝的な要素があるため、家族内で発症した人がいる場合は、発症する可能性が若干高くなります。また、稀に爪がでこぼこしたり、粗くなるなどの異常が現れたのちに脱毛が始まることもあると言われています。 心当たりがある場合は、常日頃から抜け毛のチェックをしたり、美容師さんに見つけたら教えてもらうように頼んでおいてもいいでしょう。
女性の場合、一部では「妊娠出産時に、ホルモンの分泌量の急激な変化に起因して円形脱毛症を発症する場合がある」とも考えられているようです。アトピーなどの免疫異常の疾患を持つ場合に併発しやすいとも言われていますので、当てはまる人は注意してもいいかもしれません。
女性の円形脱毛症はどんな治療が行われるの?
円形脱毛症の治療方法は、女性でも男性でも違いはなく、いくつかの療法があります。
- ステロイド局所注射療法
- 単発型や多発型の円形脱毛症に有効な治療法です。炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを、脱毛しているエリアに注射で注入します。注射した箇所にのみ発毛が見られるため、広範囲の脱毛には向きません。高い効果がある反面、副作用の注意も必要です。成長過程にある子どもは、成長障害を起こす恐れがあるので、子どもに対しては行いません。注射の際に強い痛みがあること、副作用として注射部位が陥没する場合があるということに注意が必要です。
- 局所免疫療法
- 患部に、皮膚がかぶれたりただれたりする薬を塗布することで、人工的に頭皮に炎症を起こさせます。Tリンパ球の攻撃対象を毛母細胞から炎症を起こした頭皮表面に変えることで、免疫の正常反応を試みます。個人差があるものの自己免疫反応を抑制する効果が期待できると考えられています。比較的広範囲に脱毛している患者様に対して行われる治療で、60%以上の人に有効だとされていますが、もともとアトピー性皮膚炎や湿疹のある人は、一時的に症状が悪化することもあるので、注意を要します。なお、こちらの治療は保険適応外になります。
- ステロイド外用療法
- 脱毛面積がさほど広くなく、発症からの時間があまり経過していない場合に行われるもっとも一般的な治療です。炎症を抑え、抜け毛を防ぐ働きがあります。
- ミノキシジル外用療法
- AGA(男性型脱毛症)の治療薬として知られるミノキシジルは、毛母細胞の働きを活性化し、髪の成長を促すことで発毛・育毛し、この働きによって円形脱毛症の治療においても効果を発揮することがあります。一般的に、ミノキシジルを使った頭髪治療は、健康保険の適用外ですが、円形脱毛症の場合は例外的に保険適用が認められています。ミノキシジル外用薬は一般用医薬品として薬局・ドラッグストアでも購入して使うことができますが、これらの適応症状は「AGA・FAGA」「壮年性脱毛症」を対象としています。治療にミノキシジルを使用したい場合は、皮膚科を受診して相談した方が良いでしょう。
- 飲み薬として処方されるもの
- 飲み薬として処方される薬には例としては、抗アレルギー剤やステロイド内服薬などがあります。いずれも、処方されたら医師の指示にしたがってきちんと服用しましょう。
女性の円形脱毛症の治療なら、
発毛治療専門クリニックがオススメ
発毛治療は、もちろん皮膚科でも可能です。皮膚科のほうが行きやすいと考えている人が多いこともあって、皮膚科での治療を試みる人が多いと思われます。確かに発毛治療専門クリニックは、なんとなく行きにくいと感じる人が多いのも事実です。
でも、今回は、それでも発毛治療専門クリニックでの治療をお勧めしたいと思います。なぜなら…ある日突然、ある範囲だけゴソッと髪の毛が抜けるものは、円形脱毛症の可能性が高いからです。しかし、中には他の疾患を併発しているものや、タイプによっては早期に治療した方がいい場合もありえます。1人で悩まず、皮膚科や頭髪治療専門のクリニックを受診することをお勧めします。
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